『ソビエツカヤ・ベロルシヤ』紙への記事投稿(2017年9月)

平成29年9月22日
sb. belarus segodnya 12092017

在ベラルーシ日本国大使館は2017年9月,ベラルーシの新聞『ソビエツカヤ・ベロルシヤ』(SB 今日のベラルーシ Belarus segodnya)紙に日本・ベラルーシの外交関係樹立25年に当たってのメッセージを掲載しました。掲載文は,日本とベラルーシが原子力発電所事故の復興や《ベラルーシにおける日本の秋》をはじめとする文化面において協力関係を築いてきた道のりを振り返るとともに,要人往来や経済交流の面での主な成果を紹介しました。     >> 掲載文(ロシア語)

本年1月26日,日本とベラルーシは1992年に外交関係を樹立して25周年を迎えました。25年を振り返って,私たちは両国関係において得られた成果をここで確認すると同時に,今後の両国関係の発展に向けた展望について述べたいと思います。

まず最初に二国間関係について触れなければならないのは,両国をつなげる悲しい絆である放射能被害の惨事です。ヒロシマ・ナガサキで世界で唯一の戦争被爆国となった日本は,チェルノブイリ原子力発電所事故の最大の被災国となったベラルーシに対し,一貫して人道支援を実施してきました。日本政府による事故被災地の病院への機材供与は既に38件,総額で300万ドルを越えており,この他,日本のさまざまな市民グループが20年以上に亘って物心両面での支援を続けています。

チェルノブイリ事故から25年経った2011年,日本で東日本大震災が発生し,東北地方を中心とする地域が地震に伴う津波,福島第一原子力発電所事故による甚大な被害に見舞われると,ベラルーシはいち早く日本への支援を実施しました。義捐金などの物的援助のほか,被災地からの児童がベラルーシ政府及び企業の招待で保養に招待されています。また日本から訪れた多数の専門家グループや代表団に対し,ベラルーシはチェルノブイリ事故後に得た復興のノウハウを惜しみなく与えてくれました。

日本とベラルーシはこうした双方向の支援によって互いを支え合い,真の友情を築いてきたと言えるでしょう。こうした関係は,2012年12月に両国政府によって締結された原発事故後協力協定というかたちで実を結び,現在の二国間関係における柱となりました。また,チェルノブイリ事故から30年,福島の事故から5年を迎えた昨年は,日本企業によりベラルーシに150本の桜が植樹されたというのも記憶に新しいところです。

在ベラルーシ日本国大使館は,また,1993年の開館以来,文化面での交流にも力を入れてきました。特に私たちは,ベラルーシの子どもたちや若い人々に日本への関心をもってもらい,こうした人々が将来の二国間関係発展を支えてくれる人材になってくれることを期待しています。開館直後に開始した日本政府奨学金プログラムでは,現在では日本語学習者だけでなく,幅広い専門分野のベラルーシ人留学生を日本へ派遣しており,その数はのべ100名以上になっています。また,日本語学習者も日本のアニメをはじめとするポップカルチャー人気の上昇に伴って増大しており,今年はミンスクで初めて,日本語能力試験が実施され,200名近い受験者を集めたことは喜ばしい限りです。

当館が2013年に日本文化フェスティバル「ベラルーシにおける日本の秋」の実施を開始したのは,こうした多様な日本文化を集中的に紹介し,その魅力を伝えようという目的からでした。日本では,暑い夏を過ぎた秋は,勉強やスポーツ,読書,芸術に最適な季節とされ,「文化の秋」と言われます。5回目を迎えた「ベラルーシにおける日本の秋 2017」は既に始まっています。この週末には,日本の代表的な伝統文化である生け花を紹介する行事が予定され,続いて演劇,映画,武道,書道,文学,音楽,茶道など,11月の終わりまで,今年も日本やベラルーシの講師の方々が実施する幅広い内容の行事が続きます。外交関係樹立25周年の年にふさわしい,充実したフェスティバルをお届けしたいと考えておりますので,ご家族やお友達などをお誘いのうえ,ぜひいらしてください。こうした行事への参加が,皆さんが日本への関心をもつきっかけとなったり,日本への理解をさらに深めるのに役立てば,私たちにとってこれほど嬉しいことはありません。

最近では,両国間の人的交流も活発となってきています。2015年には日本政府のハイレベルとしては実に13年ぶりに外務副大臣がベラルーシを訪問しました。2016年には,復興副大臣,外務大臣政務官,衆議院公式訪問団他国会議員が来訪し,今年に入ってからも国会議員がベラルーシを訪れています。一方,ベラルーシからは,2012年にヴァシチェンコ非常事態大臣が訪日して以来,要人の訪日が少ないのは残念です。また,ベラルーシで勉強する学生やベラルーシを訪れる日本の観光客の数も,両国の地理的な遠さにもかかわらず,次第に増えてきています。

経済分野でも両国間で具体的な成果が生まれています。ベラルーシの玩具メーカーであるポリシエは日本の大型ショッピングセンターで安全な玩具を売っており,また,インターネットでの販売も行っています。ベラルーシ産の乳製品の輸入も今年から開始されました。一方,ベラルーシではSONYやトヨタといった日本製品が売られているだけでなく,JT,武田薬品,アステラス薬品,松下電器など日本を代表する企業も進出しています。両国間では,まだ多くの生かされていないビジネスチャンスがあります。そのような潜在的な可能性が今後実現されて,互恵的な経済関係が益々発展することを期待します。

日本はベラルーシの皆さんに対していつでも扉を開けています。私たちは政治,経済,文化,人的交流などあらゆる分野で,両国関係が益々発展するよう期待をしており,そのためにベラルーシの皆さんと共にこれからも尽力する用意があります。

在ベラルーシ日本国大使館

2017年9月12日掲載